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アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎について

アトピー性皮膚炎の治療のゴールは薬を使用しないでも皮膚がかゆくない状態を保つことです。そのためには適切な薬を正しく使う必要があります。「塗り薬を処方するので塗っておいて下さい」では一旦は湿疹が良くなっても、またぶり返してしまうことが多いと思います。飲み薬は飲むだけで効果が見込めますが、塗り薬は塗り方次第で効果が大きく変わります。またステロイドを含まない塗り薬や、より効果の強い注射薬や飲み薬も使えるようになりました。当院では、まずこれらの薬の正しい使い方をお話します。皮膚が良い状態を保った上で、徐々に薬を減らしていき、最終的に保湿剤のみで痒みがない状態を目指し、治療を行います。

アトピー性皮膚炎は皮膚のバリア機能が弱く、慢性的な炎症があるため、かゆみのある湿疹が良くなったり悪くなったりすることを繰り返します。乳幼児のアトピー性皮膚炎は湿疹の出現する場所が運動発達の段階に合わせて変化していきます。最初は背中や首の周り、口の周りに湿疹が出ることが多いですが、段々、膝や肘の裏側、くるぶしや手首に湿疹が出ることが多くなります。どの時期も左右対称性に湿疹が出ることが多く、乳児期は2か月以上にわたって左右対称性にかゆみを伴う湿疹が続く場合にアトピー性皮膚炎と診断します。乳幼児期に発症したアトピー性皮膚炎は年齢を重ねるごとに自然に良くなることが多いと考えられています。しかし、アトピー性皮膚炎は下で述べているような「経皮感作」を介して、食物アレルギーなどの他のアレルギー疾患の発症に強く関連することが報告されており、他のアレルギー疾患の発症を予防するためにもしっかりとした治療が必要です。

アトピー性皮膚炎の治療で主に使われるステロイド外用薬は副作用のある薬ではありますが、きちんとした使い方をすれば怖い薬ではありません。また今はステロイド外用薬以外にもプロトピック軟膏®、コレクチム軟膏®、モイゼルト軟膏®といった副作用の少ない抗炎症効果のある塗り薬があります。それぞれ個性のあるお薬ですので、その子の状態に合わせて薬の組み合わせを考えていきます。外用薬をしっかり使用しているにも関わらず、アトピー性皮膚炎がなかなか良くならない患者さんにはデュピクセント®といった注射薬やリンヴォック®、サイバインコ®といった内服薬を使用します。これらの薬は高い治療効果が望めますが、メリット、デメリットがありますので、本人、ご家族にしっかりお話をさせていただき、一緒に治療方針を考えたいと思います。

経皮感作

アトピー性皮膚炎の患者さんでは皮膚のバリア機能が弱いため、ダニ抗原や食物抗原などのタンパク質がバリアを超えて皮下に侵入しやすくなります。普通、タンパク質は食事を食べた際に腸管から吸収されます。腸管から吸収されたタンパク質は身体に必要なものなので味方と判断されますが、炎症があり、バリアが弱くなった皮膚から侵入したタンパク質は敵と学習されることが多く、アレルギーが成立しやすいことがわかってきました。これを「経皮感作」と言います。一旦、経皮感作が成立してしまい、タンパク質に対するIgE抗体が作られると、次に同じタンパク質が入ってきた際にこの敵を迎撃するシステムが作動し、アレルギー症状が出現します。この時のアレルギー症状は基本的に敵を追い出す反応になります。涙を流したり、くしゃみ、咳、嘔吐、下痢などです。特に味方と敵を学習していく乳幼児期に皮膚をきれいに保つことは、その後の経皮感作を防ぎ、食物アレルギーなどの他のアレルギー疾患の予防につながります。乳幼児期の目標は適切なスキンケア、外用療法により皮膚の状態をきれいに保ち、経皮感作を予防することで食物アレルギーを発症させないことです。

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