子どもの病気・疾患
虫よけの選び方&虫さされ後の腫れについて
先日クリニック内で蚊を見ました。
まだ6月初旬なのに?!
夏に限らず、長い期間にわたって虫よけ対策が必要となると、小さなお子さんでも安心して使える虫よけを選びたいものですよね。
また、虫刺されは時に大きく腫れ上がったり、かゆみで掻きむしって肌を傷つける原因にもなりかねません。
今回は虫よけの成分の効果や特徴、注意点などについてお話したいと思います。
★虫よけの選び方と使用方法について
市販で販売されている虫よけの主な成分には、ディート、イカリジン、レモンユーカリオイルの3つがあります。
ディート
昔から使われている虫よけで、最も普及している虫よけです。蚊が嫌がる成分を塗った部分には蚊がとまれないので刺すことができません。
全身にまんべんなく塗ることでより高い虫よけ効果を得ることができますが、成分濃度による使用制限・年齢制限があります。
■ディートの濃度が10%以上30%未満
6か月未満のお子さん:使用できません。
6か月以上2歳未満のお子さん:1日1回まで
2歳以上12歳未満のお子さん:1日1~3回
*効果持続時間は3~6時間
■ディートの濃度が30%以上
12歳以上のお子さんで使用可能です
*効果持続時間は5~8時間
こんなシーンでおすすめ
小さい子には使用しにくいですが、多種の虫が生息する山や森、川などの虫のたくさんいる場所におでかけする時
イカリジン
効果のある虫の種類が少ないですが、小児への使用制限がありません
*効果持続時間6~8時間
こんなシーンでおすすめ
小さいお子さんでも使用しやすいため、公園遊びやお散歩
長時間屋外にいるような、キャンプやハイキング
レモンユーカリ
天然由来の成分の中で効果が確認されているものはレモンユーカリ油のみです。
刺激が強いので3歳未満のお子さんには推奨されていません
*効果持続時間は2~5時間
※吊り下げタイプの虫除けは蚊に効果なし
玄関やベビーカーなどに吊り下げて使える虫除け製品は、お肌に成分が直接触れないため子供を蚊から守るために使っている方も多いと思います。
しかし、吊り下げタイプの虫除けに使われているピレスロイド系の薬剤が効果を発揮するのはユスリカのみ。
ユスリカは見た目こそ蚊と似ているものの、人間を刺すことはありません。つまり吊り下げタイプの虫除けを使っても蚊に刺されるのを防ぐことはできないのです。
人間を刺す蚊から守りたいのであれば、ディートやイカリジンなどが使われている虫除け製品を選びましょう。
上記のように虫よけを使う場合は成分、濃度に注意して選びましょう。
初めて虫よけを使用する場合は、軽く虫よけをつけて1時間ほど皮膚の様子を見てからの使用をおすすめします。
特に皮膚が弱いお子さんにはできるだけディートやイカリジンの配合量が少ないもを選び、使用回数を減らして使うようにしましょう。
★虫よけの使用の順番は?
保湿剤・ステロイド剤⇒日焼け止め⇒虫よけスプレー
ポイント!
皮膚に塗った軟膏(保湿剤やステロイド剤)は、1~2時間程度で皮膚の奥の方まで染み込んでいきます。
そのため、軟膏を塗った後すぐに日焼け止め・虫よけスプレーを使用するとステロイド剤を塗り広げてしまったり、お薬の効果を妨げることにもなります。
日焼け止め・虫よけスプレーの使用は時間をおいてからの使用するようにしましょう。
★蚊に刺された後の腫れについて
小さいお子さんは蚊に刺された後に大人と比べて強く腫れることが多いです。何かの病気ではないかと心配される親御さんもいらっしゃると思います。
これは蚊の唾液に含まれる成分(タンパク質)に対するアレルギー反応が原因となります。
蚊に刺されたときのアレルギー反応には2種類あります。
1つ目は即時型という【すぐに起こる反応】です。
2つ目は遅延型という【遅れて起こる反応】です。
即時型反応は、刺されたあと20分程で痒くなったり、赤く膨らんだりする症状を起こします
約1~2時間くらいで収まってきます。
遅延型反応は、刺された後、1日~1日半程で最も強くなり、かゆみや赤みだけでなく硬く熱をもった腫れが起こってきます
そして治るまでに数日から1週間程かかります。
蚊に刺されたときの反応は年齢や体質で異なります。
生まれたての赤ちゃんは蚊に刺されたときの反応をあまり起こしません。そして年齢があがってきて乳幼児期になると遅延型反応が起こるようになってきます。
ですので1歳~6歳の子どもは、刺されてから数時間~2日後くらいまでに強く腫れやすいということになります。
そして小学校に入学する頃には、遅延型と即時型の両方が起こってくるようになってきます。
大人になってくると即時型が中心となって強く腫れることが少なくなってきます。
★蚊のアレルギーとは?
上記のように蚊に刺されて腫れる、腫れが数日続くなどであれば蚊のアレルギーとは言いません。
まれに、蚊に刺されて発熱やじんま疹が起きる「スキーター症候群」やアナフィラキシーを起こす場合があります。これらを「蚊アレルギー」と呼びます。
また、極めて稀な「慢性活動性EBウイルス感染症」という重篤な蚊のアレルギーと関係している病気があります。
EBウイルス感染症の症状は…
39℃以上の発熱が数日続く、リンパ節が強く腫れる、刺されたところが水ぶくれになって大きなかさぶたができる。
しかし、これらの重症な蚊のアレルギーは稀で多い病気ではありません。だんだんと自然におさまっていくことの方が多いです。
まずはお子さんにあった虫よけで予防しておくことが良いです。蚊に刺されて腫れやすいお子さんにはステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬の内服などを使用することで症状が軽くなります。ドラックストアでも購入可能な製品もありますので薬剤師さんにご相談ください。
蚊が最も活発に活動するのは、気温が22℃〜30℃くらいのときだといわれています。つまり気温が高い夏が、最も蚊に刺されやすい季節となります。逆に気温が35℃以上になると、蚊は活発ではなくなるそうです。
気温がピークになる夏の日中よりも、夏の朝や夕方で26℃を超えているときが最も注意が必要かもしれません。最近は春や秋でも、夏のように気温が高くなる日もあるので気をつけましょう。
虫よけ対策をしっかりして、公園やプールなどの外遊びを楽しみましょう!!